見積もりを取ると料金はどんどん膨らむ

 ほとんどの葬儀社では、棺や祭壇、遺体の搬送料などを合わせたセットプランが用意されていた(斎場の利用料や僧侶へのお布施などは別とするプランが多い)。そして、それをベースに棺や祭壇のランクを上げたり、供花を出したりと、足し算方式で費用が増えていくのが一般的だ。

 テレビのCMで10万円未満のリーズナブルな葬儀を喧伝している葬儀社も、実際に見積もりを取ってみると、トータルではたちまち70万~80万円となった。

 しかし、義母の葬儀を依頼した葬儀社は違った。

「棺はこちらの材質のものにすればもっとお安くできます。実際にお使いになる方も多いですが、見た目も品質も全く問題ないと思いますよ」「果物籠はご遺族でご用意いただいた方がずっと割安です」

 選んだのは通夜も行わない最もシンプルな家族葬プランだったにもかかわらず、他の葬儀社とは真逆の、引き算の提案をしてきたのだ。

 葬儀場は選択肢がいくつかあった。その中で、「少し待たされても火葬場を備えた公営の斎場にした方が、落ち着いて故人をお送りできます」と助言してくれた。

 義父母には檀家寺がなかったが、すぐに同じ宗派の僧侶を紹介してくれ、心のこもった読経と戒名をいただくことができた。聞けば、宗派を網羅する形で僧侶や神父、牧師などと契約しているのだという。