1.G7広島サミットの評価
5月19日から21日まで広島で開催されたG7首脳会合は世界の分断が進む政治状況の中で行われた。
それでも現在、世界が注目する主要テーマであるウクライナ問題、中国問題に関して西側諸国の結束を示すことができた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が出席した効果も加わり、ウクライナを支援し、ロシアを批判する立場の共有も全世界に向けてアピールできた。
そこにはインド、インドネシア、ベトナム、ブラジル、太平洋諸国からクック諸島、アフリカからコモロなどグローバルサウスを代表する国々に加え、韓国、オーストラリアも参加し、G7と世界との連携を示した意義も大きかった。
このように、今回のG7広島サミットは西側主要国が結束を示しつつ、グローバルサウスおよびインド太平洋の首脳も巻き込む形で、世界の重要課題に関する意見交換を行い、一定の共通認識を共有する場となったという点で米国欧州の国際政治の専門家の間でも高く評価されている。
ある米国の国際政治の専門家は「G7 is back」と表現した。
米国のオバマ政権が国際的な合意形成の重点をG7からG20へとシフトさせたことから、最近はG7の役割が低下していた。
しかし、そのG20も中国、ロシアと西側諸国との間で外交、安全保障、イデオロギー対立が先鋭化し、合意形成が困難となっていた。
今回のG7広島サミットはそうした世界秩序形成の役割を担うG7およびG20の機能低下の流れに一定の歯止めをかける役割を担ったと評価されている。
「G7 is back」という表現は、そうしたG7の復活に対する評価を示している。
以上は筆者が、G7開催直後の5月21日から約3週間、米国と欧州を訪問し、米中関係・中国問題の専門家との意見交換を行った際に得られた評価の整理である。