仕組債が個人の資産運用に必要なのか
証券取引等監視委員会による千葉銀行など3社の行政処分勧告を受け、鈴木俊一金融担当相は仕組債について「顧客によっては理解が困難であり、リスクやコストに見合う利益が得られない場合がある」とコメントしている。
揚げ足を取るわけではないが、仕組債は「顧客によっては」というより「ほとんどの顧客にとって」理解のハードルが高い。そして、「リスクやコストに見合う利益が得られない場合がある」どころか、「顧客の大事な資産を損なう事案が頻発している」のが実状だ。
個人が買える金融商品のバリエーションは充実してきており、仕組債が資産運用のポートフォリオに特段必要とは思えない。それでも、金融機関にとっては貴重な収益源だけに、「個人には売らない」という選択はあまりないようだ。
金融庁が2017年に「顧客本位の業務運営の原則」を策定し金融機関に受け入れを呼びかけてから、取材先の銀行や証券会社で「フィデューシャリー・デューティー(信認を受けた者が履行すべき義務)」という言葉をよく耳にするようになった。同じ金融機関の営業職員が熱心に仕組債を売り回っていたという話を聞くと、戸惑いを禁じ得ない。