勧誘対象にしていいのはどういう投資家なのか?

「投資経験、顧客の理解力、リスク許容度等」から総合的に判断して勧誘対象となるのはいったいどんな人なのか、ということだ。

 例えばこんな人はどうだろうか。筆者の知人の50代男性は大手証券会社と20年以上の付き合いがあり、そこの口座で3500万円程度を運用している。株式を中心に投資信託や債券にも幅広く投資しており、証券会社から見れば「経験豊富な優良顧客」だろう。

 しかし、よくよく話を聞くと、「持ち株は全て証券会社の営業職員のお勧め。利益確定の際も『そろそろ売りませんか?』と声をかけてくれる」のだという。要は、営業職員に“おんぶにだっこ”なのだ。

 冗談交じりにこんな話もしてくれた。「正直、それほど自分の金融知識に自信があるわけではない。去年からiDeCo(個人型確定拠出年金)で積み立てを始めた20代の長男の方がよほどよく勉強している」

 マネー誌を含め、長年個人投資家を取材してきた経験から言って、証券会社の優良顧客、特に対面取引を利用するシニア層には、この男性のようなタイプが多いように見受けられる。だとしたら、株式よりもはるかに複雑な商品性を持つ仕組債の勧誘は、果たして適切と言えるのだろうか。