今後、ウクライナ反転攻勢の主役となるドイツ製「レオパルト2」(両側2台)と米国製「M1A2エイブラムス」(中央、4月4日撮影、ポーランドのNATO演習で、米陸軍のサイトより)

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6月10日、「ウクライナで反攻と防御の軍事行動が取られている」と述べ、反転攻勢を開始したことを認めた。

 また、作戦に自信を示し「様々な前線の司令官らと連絡を取っているが、みな楽観的だ」と語った。

 その中で「どの段階にあるかは明言しない」と、作戦の詳細には言及しなかった。

 実際の戦闘では、「いくつかの地域では前進し、ロシア軍の第1防衛戦を突破した可能性が高い」という情報もある。

 一方、この段階から、防勢作戦を余儀なくされるロシアのウラジーミル・プーチン大統領は6月9日、ウクライナ軍の反攻が「間違いなく始まった」と述べたが、撃退に自信を見せている。

 セルゲイ・ショイグ国防相は、ウクライナ軍の反攻を阻止したと表明した。

 今回のウクライナ軍の反撃は、ロシア軍が周到に準備した陣地に対する攻撃であり、奇襲攻撃が成功したハルキウやへルソン正面での奪回作戦に比べると、そう簡単ではない。

 多くの損害を受けることを予期しなければならない。

 反撃作戦は始まったばかりであるが、いくつかの村を奪還したとか、ウクライナ軍の戦車等10数量が破壊されたとかの情報もある。

 現段階では、新たに編成された9個旅団、すべてが投入されているわけではいない。

 現在の段階における今後の戦況の推移を改めて考察したい。考察に当たっては、

①ウクライナ軍のここ数か月の戦い方と両軍の戦い方への影響

②現在実行している作戦戦術

③今後ロシア軍を撃破するための作戦戦術に区分して分析する必要がある。

 今回は、①ウクライナ軍のここ数か月の戦い方と両軍の戦い方への影響を考察する。