わたしは世間の人が好きなほど、ラーメンはそれほどでもない。だからラーメン専門店には一度も行ったことがない。ジロー系とか家系とかわからない。なかには複雑すぎて注文するのが難しそうな店もある。
近所に2軒のラーメン店があったが、1店は何年も前に、残りの1店も昨年閉店してしまった。その店の半チャンラーメンは好きだった。
町中華がすべていいわけではない。半チャンラーメン850円とあったので入ったが、ラーメンは普通で、炒飯がダマだらけのぼけた味で閉口したことがある。おじいさんが作っていて、フロアのおばあさんが話好きだった。彼女に、なぜかわたしは登山家と間違えらえた。人はいいのだが、よくその年まで店が続いてきたものだと逆に感心したものである。
試したい炒飯はある
わたしは食べることは好きだが、別にグルメではない。まずいものは困るが、ふつうにうまいものなら文句はない。
ラーメンは普通の食堂のもので十分である。チャーシューはいらない。袋麺でもいい。餃子にもこだわりはない。羽根なんかついてなくていい。どんな料理に関しても、ここのを食べたら、ほかの店のものは食べられないよ、というような利いた風な口はきかない。
結局、中華のなかでわたしが一番好きなのは炒飯である。どこどこの炒飯がうまいと聞くと自分で試したくなる。ひとの評判だけでは信用ならない。新橋の「チャーハン王」はずっと気になっているのだが、めんどうでまだ行ったことがない。神田白山通りの「炒飯屋」は中国人の店だが、そうでもなかった。
全国の炒飯はあらかた食べてきたとは全然いえない。ほとんど食べていない。ただ、これまで食べた炒飯で断トツの一番は、前にも書いたことがあるかもしれないが、台湾台北の鼎泰豊(ディンタイホン)の玉子炒飯である。味、量、見た目とも完璧だった。
2番は紅虎餃子房のじゃこ炒飯だった。一口食べただけでいきなり「うまい!」と思った。だったというのは、わたしにとって永遠のメニューだったのに、なぜか店からはそのメニューがなくなったからである。いまとなっては幻の炒飯。
いま狙っているのは、京都の東山にあるマルシン飯店の天津飯である。今度また奈良に行くので、時間があったら行ってみよう。
それよりいま一番気になっているのは、本駒込にある「兆徳」の玉子炒飯である。絶品という評判である。鼎泰豊を抜くのか? 是非試したいが、いつ行っても長蛇の列というのが二の足を踏むところだ。