香港で開催されたアニメ、マンガ、ゲームの祭典「ACGHK 2022(香港漫電玩節)」(資料写真、2022年7月29日、写真:Abaca/アフロ)

(馬 克我:日本在住中国人ライター)

「B9GOOD」は、日本アニメをオンライン視聴できる中国の海賊版ウェブサイトである。その運営者が中国当局に摘発され、3月27日にサイトが閉鎖された。

 日本のコンテンツの海外促進と海賊版対策を行う「一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)」のデータによると、B9GOODのアクセス数は、2021年1月から2022年末までの約2年間で累計3億回を超え、その視聴者の大部分は日本からのアクセスだったという。

 なぜなら同サイト上の海賊版アニメには中国語の字幕がない上、数年前より中国のIPアドレスからのアクセスをブロックしており、中国以外の人しか視聴できなかったためである。

 中国のウェブサイトにとって、中国のIPアドレスをブロックすることは、法の目をかいくぐる手段の1つである。B9GOODの場合は、中国アニメを盗用するわけでも、中国人を対象にするわけでもないため、中国政府の注意を引かないということだ。実際、同サイトは2008年から運営されており、運営者の重慶市在住の無職男性(33)は、これまでに1億円以上の広告収入を得ていた。

海賊版は「自由の精神」の現れなのか?

 B9GOODは中国において影響力は低いものの、日本語を理解できる中国人の中には、IPアドレスのブロックを回避するVPN(仮想プライベートネットワーク)を駆使して長期間視聴している人も少なからずいた。同サイトが閉鎖されると、中国のSNSでは「このウェブサイトの閉鎖は偽善だ。インターネットの極めて重要な自由の精神を損なった」という声も上がった。