米アップルはインドで同社の初の直営店をオープンした。これに先立ちインド入りしていたティム・クックCEO(最高経営責任者)は開店時に自ら店舗のドアを開けて顧客を出迎えた。米メディアによると、同氏はモディ首相と会談するほか、取引先や顧客を訪問する予定だという。
巨大人口と成熟経済
同氏の今回の訪印は、インドがアップルにとって戦略的重要拠点であることを示していると米CNBCなどは報じている。中間層が増え続けるインドは、アップルの収益成長を支えるだけでなく、数百万台ものアップル製品製造の本拠地となる可能性があるからだという。
巨大な人口と成熟した経済は、アップルの進出にとって理想的な状況にあるとアナリストらは指摘する。加えて、インド政府はアップルと緊密に連携して国内製造業を後押ししようとしている。インド市場には成長の余地が十分にあり、機会は膨大なものになる可能性があるという。
iPhone、インドでシェア5%未満
アップルは地域別売上高を、①米州、②欧州、③中華圏(香港と台湾を含む)、④日本、⑤その他のアジア太平洋地域、の5つに分類して開示している。このうち③の中華圏の2022会計年度における売上高は740億ドル(約9兆9600億円)で、全売上高の約18%を占めた。
これに対し、インドを含む⑤の同期間の売上高は290億ドル(約3兆9000億円)。また、アップルがインド当局に提出した書類によると、22会計年度におけるインドの売上高は約40億ドル(約5400億円)だった。米ブルームバーグは先ごろ、23会計年度におけるインド売上高が60億ドル(約8100億円)となり、過去最高を更新したと報じた。だがそれでも、アップルのインド事業は中華圏と比べ規模が小さい。