写真はイメージです(出所:Pixabay)

(花園 祐:中国・上海在住ジャーナリスト)

 今年(2023年)3月下旬、中国北京でアステラス製薬社員がスパイ活動の容疑で中国当局に逮捕されるという事件が起きました。この事件を受け4月2日、日本の林芳正外相が急遽訪中し、北京で日中外相会談が開かれました。

 中国国内でのスパイ容疑による日本人逮捕は過去にも度々起きています。これまでは日中間の交流団体関係者が捕まることが多かったのですが、少なくとも明るみに出たケースにおいて大手企業の現役社員が逮捕された例は珍しいと言えるでしょう。日本側が解放に向けすぐ動いたのも、そうした背景があるからかもしれません。

200人以上の米国人を今も拘束か

 日本国内では「スパイ」と言っても、現実的な存在として感じることはほぼないでしょう。テレビドラマや映画の中だけの存在と思っている人もいるかもしれません。

 しかし中国では、外国人スパイの摘発が頻繁に報じられています。中国政府も普段から警戒感を隠そうとしまません。そのため中国人にとって、スパイはけっして「映画の中の職業」というわけではありません。

 では実際に、中国ではどれだけ外国のスパイが摘発されているのか。