(写真:ロイター/アフロ)

 高度な言語能力を持つ人工知能(AI)の爆発的人気にあやかろうと、米テクノロジー大手は「生成AI」を自社サービスの売り込みに利用していると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。その背景には、クラウドサービスの成長鈍化があるという。

クラウドのテコ入れに対話AI

 米マイクロソフトが出資する米オープンAI(OpenAI)は2020年に大規模言語モデル「GPT-3」を開発した。22年11月に、これを進化させたGPT-3.5を取り入れた対話AI「ChatGPT(チャットGPT)を公開したところ、わずか2カ月で月間アクティブユーザー数が1億人に達した。オープンAIは23年3月14日、GPT-3.5をさらに進化させた「GPT-4」を発表。そして、同社のChatGPTのほか、マイクロソフトの「Bing」をはじめ、各種アプリやサービスがGPT-4を取り入れた。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、マイクロソフトのサティア・ナデラCEO(最高経営責任者)はこのほど、米ワシントン州レドモンドにある本社とニューヨークのオフィスで開催した会議でプレゼンテーションを行った。同氏は、企業が同社のクラウド基盤「Azure(アジュール)」を通じてAIを活用することで、業務効率が高まると説明した。

 米グーグルは23年3月、同社のクラウドサービスを利用するソフトウエア開発者に対し、同社最大級のAIプログラム「Pathways Language Model(PaLM)」を有償提供すると明らかにした。企業は独自の対話AIやウェブページ要約ツールなどを開発できるようになるという。

 マイクロソフトとグーグルはそれぞれ「Word」や「Google Docs」などの業務用ソフトに対話AIを導入する意向も示している。

 テクノロジー大手が生成AIに注力する背景の1つには、これまで成長の主要原動力といわれてきたクラウドサービス事業の成長鈍化があるという。アナリストは大手3社を合わせたクラウドサービスの売上高が、23年に前年比18%増加するとみている。だが、この伸び率は22年の約半分にすぎない。