精神的に強くなくてもいいが、卑怯なことはするな
今月13日から、国はマスクの着脱の判断を個人に委ねることにした。日本人はもろに「人はしなくても自分はする」あるいは「人はしても自分はしない」が試されることになったのである。マスク解除宣言からまだ1週間だが、屋外でも屋内でもほとんど変わっていない。まだ95%以上の人がマスクを着けている。
新型コロナの発生以来、中川淳一郎氏は当初からコロナは大したものではないとマスクをしなかった。しかし緊急事態宣言やらマスク着用を徹底した国や学者や医師やテレビ(とくに「羽鳥慎一モーニングショー」)や、それに唯々諾々と従った国民が、いつまでたってもマスク信仰を手放さないことに愛想が尽き、もう我慢の限界だとばかりに「この国は最悪のバカ国である」と断定した(『捨て去る技術――40代からのセミリタイア』集英社インターナショナル新書)。
マスクだけでなく、その他諸々のことも含めて、わたしも同感である。
「イジメというものは、イジメる側のガキがアホなため、発生するだけなのだ。だったら悔しいが、そこから逃げる方がよっぽどいい。そんなアホを改心させることは難しい」。当然、おとなの世界にもイジメはある。
中川氏は2020年、47歳のとき佐賀県唐津市に引っ越した。だが東京の「メディアが日本全国を牛耳っている」から、東京の「圧」は佐賀にも押し寄せてくる。もう「マスク真理教」「ワクチン絶対主義」に耐えられなくなった中川氏は、2022年12月にまだ日本が感染対策徹底国だったときは、日本を「脱出する」と決めた。
すると案の定、田原総一朗ばりの「だったら早く出ていけ」という言葉が投げつけられ、「いつ出ていくのですか?」という者たちも現れた。しかし中川氏は今更そんな批判はこわくない。それらの根底には、「自分にはできないことを易々とできるお前がムカつく」といった世間の妬みがあることも指摘している。
中川氏は子どもや借金や会社や老親介護などの「足枷がない」から、いつでも「日本を捨てる」ことができる。しかし多くの人は難しいだろう。でも「それはそれでいいではないか。それもあなたの人生で、私は私の人生を送っている。お互い、自分の決断を正しいと思い、いちいち他人に対して羨んだり見下したりするのはやめようではないか」
まったくそのとおりである。みんながみんな、精神的に強い人間にならなくてもいい。お上や世間に従っている方が楽だ、という人はそれでいいのである。ただその場合、少数の人間をよってたかっていじめて、それで強い自分を感じていたいという卑怯でみじめなことはしないようにしよう。
世間はお上のいうことを信じているだけ。中川氏は自分の考えを信じ、自分の判断に自信があるのである。それはかれに「私自身、今、最も大切なのは私と妻である。我々2人が幸せであれば、正直社会がどうなってもいい」という、ゆるぎない人生の原則があるからである。
中川淳一郎氏は現在50歳。日本を捨てて、マレーシアで暮らしているようである。