放漫財政で長く栄えた権力・国はない

 財政赤字はいくらになっても大丈夫だとするのであれば、150兆円程度の復興予算も恐るるに足らずかもしれないが、果たして本当にそうだろうか。

 自分の知る限り、古今東西、放漫財政で長く栄えた権力、国家は存在しない。経済混乱のリスクを避けるためには、そうした大規模な臨時の歳出にも耐えられる財政構造にしておくことが必要だ。

 他方、人口動態をみると、2050年の日本では、人口は1億人を切り、65歳以上がその4割を占める。残念ながら、今から手を打ったとしても、これは動かしがたい現実である。

 しかし、そうした社会においても、日本に暮らす一人ひとりの幸せ、ウェル・ビーイングを高めていくことはできる。2023年においても、欧州にある日本より小さな国で、日本よりも国民の幸せ度が高い国はいくつもある。

 2050年の日本で、4割を占める65歳以上の人口が生活をエンジョイできるためには、社会保障制度の持続可能性についての信認が一層重要になる。

 年金・医療・介護の保険制度について、それらが充実したものになっていればなお良いが、まずは、何歳まで生きるか分からない不確実性に直面する世代が、安心できる持続可能な制度が実現していることが大事だろう。