首都直下地震の復興対策は150兆円規模に

 失われた時が30年として、これからの30年を実りあるものとするため、2050年という時点を設定してみよう。

 その時の日本経済を総合的に描くのは大変な作業になるので、ここでは論点を2つだけ取り上げる。一つは、それまでの間に起こる可能性がある大きな震災であり、もう一つは人口動態である。

 まず、震災に関して言えば、内閣府の中央防災会議の首都直下地震対策検討ワーキンググループが2014年に首都直下地震被害想定を発表している。

 それによると、首都直下地震の発生確率は、今後30年間で約70%。経済被害は95兆円に達するとされている。東日本大震災の経済被害は、推計に幅があるが、約20兆円程度だとして、首都圏直下地震の被害額はその約5倍にも及ぶのである。

 東日本大震災の復興対策費は総額で30兆円超なので、もし被害額と比例的に復興対策費が組まれれば、150兆円近くの支出がなされることになる。想定されている震災は首都圏直下だけではないので、金額はさらに膨れるかもしれない。そしてほぼ確実に、それは赤字国債の発行によって賄われる。

 震災から復興は本当に大変であろう。

木造住宅が密集する地域では首都直下地震への対策を進めている。写真はイメージ(写真:Natsuki Sakai/アフロ)