色(モテ)と食(グルメ)はかくも近距離だ。ことデートなどの場面において、男性が女性に「相手が女性で、自分が男性だから」食事をおごるのが紳士(またはいい男、モテる男)のマナーに違いないといった刷り込みは大きい。
今回の炎上では、ネットもテレビも、さまざまなメディアがこの話題を取り上げた。街頭インタビューや「あなたはおごる派? ワリカン派?」のようなざっくり粗いパイチャート調査で、20~30代の未婚男性の中に、「実態はワリカンだけれども本当は男性がおごるべきなのではないか」と思っていたり「本当はおごりたいんですけど」などと口にしたりする人が多いのが印象的だった。
未婚既婚にかかわらず、中高年層は特にその価値観(責任感?)が強固で、かつて“アッシー”“メッシー”という女性に貢ぐトレンドカルチャー下で青春期を過ごした現在55歳のバブル世代以上は、経済崩壊後もいまだに半数以上の男性が「デートの食事は男性がおごるもの」と認識している・・・という調査結果もある。
東カレ文化を支える、バブル世代以来の男女の固定観念と男のやせ我慢
その延長線上にあるのが、以前この連載でも取り上げた雑誌「東京カレンダー」が展開する、「(港区あたりで)綺麗な若い女子に高いメシを食わせてその後の色っぽい展開にも大いに期待する」消費行動だ。
この価値観は、女性の就職なるものが、基本的に一般職で、数年を大企業の腰掛けOLとして過ごし、寿退職するのが女の花道と考えられていた時代の遺物である。