新型コロナによる死者は世界第2位?
すべてはウクライナでの戦争以前に始まったことであり、ロシアでのぞっとするようなパンデミックを反映している。
ロシアの公式統計によれば、この国での新型コロナによる死者は38万8091人だった。
その通りなら比較的少ないが、本誌エコノミストの推計では、2020~23年の超過死亡数は計120万~160万人に上った。
この超過死亡数は、人口が格段に多い中国や米国の死者に匹敵する数字だ。
実際、ロシアは新型コロナによる死者数がインドに次いで世界で2番目に多く、人口10万人当たりの死亡率は850~1100人で世界最悪だった模様だ。
パンデミックの死者に戦争の犠牲者、動員を逃れて国を出た人々を足し合わせると、ロシアは2020~23年に通常の人口減に加えて190万~280万人を失った計算になる。
人口が年にざっと50万人ずつ減った2000年代初頭よりもさらにひどい事態ということになる。
ロシアを待ち受ける未来
この事態はロシアの将来にとって何を意味しているのか。
人口動態は必ずしも運命ではない。実際ロシアでも、2010年代半ばには人口が増加に転じた局面があった。
ロシアの軍事動員が示しているように、人口の変動の影響は複雑であることが多い。
徴兵の対象年齢(これまでの18~27歳から21~30歳に引き上げられている)のロシア民族が減少していることで、ロシア軍が4月に始まる定例の春の徴兵を行うことが難しくなる。
