2023年2月18日に韓国のテレビのニュース番組に映し出された北朝鮮の金正恩委員長(右)と、娘とされる少女(写真:AP/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 北朝鮮が2月18日と20日の弾道ミサイル試射に引き続き、23日には長距離巡航ミサイルの試射を実施した。

 北朝鮮による18日のICBM試射に対抗して、アメリカは爆撃機を朝鮮半島周辺空域に派遣し、韓国空軍と航空自衛隊の戦闘機を伴って米韓ならびに日米共同訓練を実施した。そうした「北朝鮮への威嚇」に反撃する形での長距離巡航ミサイル試射と見られる。

ジグザグな飛翔経路で日本を撹乱

 北朝鮮が発射した4発の長距離巡航ミサイルは「ファサル-2型」と呼ばれており、北朝鮮当局は戦略巡航ミサイルと称している。すなわち、核弾頭の装着も可能であるというわけだ。

 北朝鮮側の発表によると、4発のファサル-2型長距離巡航ミサイルは、北朝鮮東部日本海沿岸の金策市から日本海に向けて発射され、あらかじめ設定されていた飛翔距離2000kmを楕円形や8の字型でおよそ170分前後飛行して標的に命中したとされている。標的は、北朝鮮軍がしばしばミサイル試射の標的にしている金策市東方海上の卵島(全長850メートルの小さな岩礁のため精密攻撃能力の宣伝にもなる)と考えられる。