ニューヨーク証券取引所(写真:アフロ)

投資をするうえで一番大切なのは、表面的な説明を鵜呑みにするのではなく、「これって絶対変だな」と気づくことができる一般常識だ。長年金融業界に携わり、最近どこにも忖度の必要がない立場になった著者が、投資に必要な正しい“常識”を解説する。(JBpress)

※本稿は『お金以前』(土屋剛俊著、日経BP)より一部抜粋・再編集したものです。

 金融の世界には一流の投資銀行から非合法の闇金にいたるまで幅広い世界が広がっています。そんな中では、「大切なお金を将来や家族のために少しでも増やしたい」という気持ちにつけこまれたり、あるいは、金融知識のない人につけこんで稼ぎたいと思う人たちの餌食にされたりすることもあります。

 そういうときこそ信頼できるプロに相談したいのですが、プロの人達もまた、お客さんからもらう手数料で生活しています。場合によっては、本当にお客さんのためを思ったアドバイスはしたくてもできないということもよくあります。このように、「お金に対してしがらみなく正しい情報を得る」ことはけっこう難しいのです。

 お金についての情報は、ネットや本でさまざま出ています。ただ、「これを買えばいい」「あれはやめた方がいい」という表面的な説明が多く、もし未来に変化があった場合、どうしたらいいかが分かるものは少ない印象です。

 私は、「お金を増やす」ことでいちばん大切なのは「一般常識を増やす」ことだと思っています。「これって絶対変だな」と気づけるようになるのがいちばんです。

 私は長い間、大手金融機関のサラリーマンをしてきましたので、会社の利益にならないことをあえて世に出すのは控えてきましたが、独立開業するに至り、ようやく自由に説明ができる立場になりました。しがらみのない意見をお読みいただければと思います。

株について守るべきことはシンプル

 さて、投資といえばまず思い浮かぶのは、「株式」です。株について守るべきことは、基本はシンプルです。

「運用する期間が長いほどいい」
「株の投資は、すぐには使わないお金、かつ値下がりしても生活に困らない範囲にとどめておく」
「個別株には投資しない」
「一度投資したら10年くらいは売らない、値上がりしても値下がりしても売らない。いちいち値段のチェックはしない」

 なんだそれだけかと思われるかもしれませんが、実はこれで十分です。