(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
回転寿司店での迷惑行為の動画が拡散して問題になっている。
それでとても嫌なことを思い出した。中学校に通っていた時、同じクラスの男子生徒の弟が回転寿司店の寿司を食べて死んだ。サルモネラ菌による食中毒だった。店の杜撰な衛生管理が原因で、それでサルモネラ菌の存在を知ったし、普通に生活を送っていても簡単に人は死んでしまうのだと思わされた。
動画拡散でますますエスカレートする非常識行為
男子生徒はしばらく学校にやってこなかったが、再び教室で顔を合わせた時には、どう言葉をかけていいのか戸惑った。だが、向こうが何事もなかったように話しかけてきたから、それに調子を合わせてやり過ごすことができた。それでも、同じ場所で同じものを食べていた家族が死んでしまうこと、ひょっとしたら自分が死んでいたかも知れないと思うことを想像すると、辛くなった。
今回の問題が大きくなったのは、回転寿司チェーンの「スシロー」で、高校生の少年が未使用の湯呑みの縁や醤油ボトルの注ぎ口を舌で舐め回したり、回転レーンを流れる寿司に唾液をこすりつけたり、皿から1カンだけ取って食べるなどの動画がSNSで拡散したことだった。
それ以前には、「はま寿司」で他の客が注文した寿司に勝手にわさびを乗せる動画が出回っていて、これがきっかけとなって迷惑動画がエスカレートしたようだ。