(英エコノミスト誌 2023年1月28日号)

地方政府によって解体命令が下された海南省海花島に建設された39棟の集合住宅。恒大集団が手がけたプロジェクト(2022年1月6日撮影、写真:ロイター/アフロ)

改革が新たな供給過剰をもたらすリスクがある。

 中国山東省の小都市、海陽市の海岸に点在する高層住宅から判断するに、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)の見通しはかなり厳しい。

 同社は売上高で中国最大の不動産開発業者だが、ビーチに面したマンションはほとんど売れていない。一握りの高層ビルは建設途中で止まっているようだ。

 とがった屋根の建物が並ぶドイツの村を模した一角には商店やレストランがあり、多少の華を添えている。

 だが、こちらも空っぽに近い。同社の住宅販売の失敗は、2022年上半期の利益がほぼ丸ごと消え失せたことで明らかになった。

不動産デベロッパーの苦境

 そのような困難に直面した中国の不動産デベロッパーは碧桂園だけではない。

 2022年に中国で販売された住宅の床面積は前年実績を24%下回った。データが利用可能になった1992年以降で最大の落ち込みだ。

 不動産投資も前年比10%減となり、こちらは記録にある限りで初めての減少となっている。

 国境をまたぐデフォルト(債務不履行)も難しいことが判明している。

 世界で最も重い債務を抱える不動産デベロッパーで、2021年に経営破綻した中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ)は、2022年7月までに策定するはずだった再建計画をまだまとめていない。

 今年1月16日には、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が同社の監査法人を辞任した。

 こうした経済活動の落ち込みは、国内総生産(GDP)の2割前後を不動産から計上している中国経済にとっては大惨事だ。

政策見直しに動き出した政府

 政府当局は目下、政策の大々的な見直しに取り組んでいる。「ゼロコロナ」政策を放棄すると同時に、ハイテク企業の締め付けをやめるというシグナルを発している。

 そして、不動産業界の救済も試みている。

 当局が2年にわたって業界に債務削減を強い、数十社がデフォルトに追い込まれた後、今では市場心理の改善を期待して対策の多くを撤回している。

 これが一定の楽観論を生んだ。

 海陽市に荒涼とした風景が広がっているにもかかわらず、碧桂園控股の株価は10月以降で3倍に上昇した。

 政府による改革の中身はまだ不透明だ。規制当局は1月13日、21項目からなる計画の草案を策定した。

「優良」な開発業者に流動性資金を供給するのが狙いだとうたっている。優良な業者とそうでない業者の線引きが次の課題になるが、どんな業者が「優良」なのかという明確な定義は書かれていない。