違う形態に移り変わる半グレの犯罪

 半グレは、特殊詐欺をメインのシノギとしてきた。この特殊詐欺もマイナーチェンジしながら、長年続けられてきた。

 そもそも初期のころは、金銭の受け渡し場所は銀行であった。ただ銀行は人目が多く、防犯カメラなども設置されている。既に通報されて、人混みのなかに警察官が紛れているかもしれない。このリスクを避けるために、次第に自宅に取りに行く形態が増えていった。

 だがそうなると、今度は受け子が回収した金銭を持ち逃げするリスクが高まった。さらに、警察と被害者が協働する「騙されたフリ作戦」も散見されるようになった。

 そこで、彼らは考えた。どうせリスクを冒すなら、家にある金目のものを根こそぎ頂いた方が効率がいいだろう、と。その結果が、家にいくら現金があるか確認して強盗に入る「アポ電強盗」となった。いわゆる闇バイトの「タタキ案件あります」だ。

 犯行グループが“ターゲット”の自宅に、銀行員や警察官、あるいは身内を装って電話をかけ、言葉巧みに現金の所持金額などを聞き出し、高齢者や女性が一人で在宅するような時間帯を狙って強盗を働くというのが「アポ電強盗」の手口だ。

 しかし、強盗は、逮捕された際のリスクが大きい。「強」の付く犯罪だから懲役が長い。なかなか人も集まらないというデメリットがある。また2021年からのコロナ禍の自粛生活で在宅する人が増えたことも幸いして、下火になった。

 そこで登場したのが、比較的低リスク・ハイリターンな「キャッシュカードすり替え詐欺」である。

 銀行員や警察官、金融庁等の職員を名乗って電話をかけ、「あなたの預金口座が不正利用されている」など虚偽の説明をしたうえで、実行犯が自宅を訪問。「キャッシュカードを使えないようにしますので、カードと暗証番号を書いたメモを封筒に入れてください」などと指示する。さらに「封印するので印鑑をもってきてください」などと言い、被害者が印鑑を取りにいっている隙に、偽物のカードが入った封筒とすり替える、という手口だ。