侍ジャパンは順調に東京ドームで行われる1次ラウンドB組と準々決勝を勝ち抜ければ、現地時間の3月19日から米フロリダ州マイアミのローンデポ・パークで開催される決勝ラウンドへ勝ち進むことになる。

 つまり大谷らMLB組は僅か2週間の中で侍ジャパンの世界一奪還のため極限のプレッシャーと向き合いながらWBCの短期決戦を戦い、日米の長距離を往復しなければならなくなるというわけだ。特に投打二刀流で他の選手より疲労が見込まれる大谷にとっては、少なくとも歓迎すべきスケジューリングではない。

今季終了後にFA権取得、争奪戦にも影響大

 大谷はエンゼルスとの契約延長が成立しない場合、今オフにFA(フリーエージェント)となる。現時点で米メディアからは早くもロサンゼルス・ドジャースやニューヨーク・メッツ、パドレスなど複数球団の名が移籍先として取り沙汰されているが、仮にWBC参加が裏目に出て2023年シーズンに悪影響を与えてしまうとすれば「来季新年俸は5000万ドル(約64億円)」とまで報じられている“オオタニFAフィーバー”も一気に尻すぼみしてしまうかもしれない。

 しかしながら、これまで数々の常識を覆し続けてきた大谷のことだ。結局フタを開けてみれば、このような不安は杞憂に終わる可能性だってある。投打二刀流としてWBCで侍ジャパンの世界一奪回に大きく貢献するだけでなく、その疲労を全く感じさせずに今季もエンゼルスで活躍し2年ぶりのア・リーグMVP選出に加えてチームも21年ぶりとなるワールドシリーズ制覇へと導く――という究極のシナリオを何だかんだと言われながらアッサリと現実化してしまいそうな気もする。

 そうなったら今オフの大谷の評価も青天井のごとく“爆上がり”となることは必至で移籍するにせよ、あるいはエンゼルス残留でも5000万ドル程度の新年俸では済まされなくなってくるだろう。

 WBC参加が吉凶どちらに転ぶのか。大谷の2023年はシーズンも含め最後の最後まで目が離せそうもない。