米マイクロソフトがインターネット電話大手、ルクセンブルクのスカイプ・テクノロジーズ(Skype)を買収することで合意に近づいていると米ウォールストリート・ジャーナルが報じている。
事情に詳しい関係者の話によると買収金額は70億~80億ドル。負債を含めると総額は85億ドルになる。早ければ米国時間の5月10日にも発表するが、交渉は決裂する可能性もあると伝えている。
実現すればマイクロソフトの36年の歴史で最大規模の買収となり、数百万人に上るスカイプのユーザー基盤を背景に、苦戦するオンライン事業や携帯電話向け基本ソフト(OS)の分野で巻き返しのチャンスがあるという。
スカイプ、紆余曲折の8年間
スカイプは、専用ソフトをインストールしたパソコンやスマートフォンなどで音声通話が行える無料のサービス。固定電話や携帯電話への発信が可能な有料サービス「スカイプアウト(Skype Out)」も提供しており、これを主な収益源としている。
しかし、設立以来これまでの8年間、利益はごくわずかという状態。昨年の売上高は8億6000万ドルだったが、最終損益は700万ドルの赤字だった。
スカイプはファイル共有サービス「カザー(KaZaA)」の共同創設者、ニクラス・ゼンストローム氏とヤヌス・フリス氏が2003年に設立した。
2006年にネットオークション大手の米イーベイ(eBay)が26億ドルで買収し、オークションの売り手と買い手を結びつけるコミュニケーションツールなどを試みたが、事業に寄与するほどの大きな成果は得られなかった。
結局、イーベイは2009年にスカイプ株の70%を、米シルバーレークパートナーズを含む投資家グループに売却した。
その後スカイプは新規株式公開(IPO)を計画し、昨年8月に米証券取引委員会(SEC)に申請書類を提出したが、同年10月に米シスコシステムズの元上級副社長、トニー・ベイツ氏を最高経営責任者(CEO)に迎え入れた後、計画は保留となった。