中国軍機から異常接近された米軍のRC-135(出所:米空軍)

(北村 淳:軍事社会学者)

 昨年(2022年)末12月29日、米国防総省は同月21日に南シナ海上空で米軍機に中国軍機が3メートル以内という至近距離に接近するという“極めて危険な事案”が生じていたことを公表した。

 それとともにアメリカ主要メディアは、中国海軍航空母艦「遼寧」がグアム周辺海域で確認されたことを「初めて中国空母がグアムに接近」と取り上げ、中国海軍の活動が“アメリカの領域”近くを脅かしつつあると警鐘を鳴らした。

中国は「米軍機が危険な飛行」と非難

 米軍当局によると、昨年12月21日、南シナ海上空を偵察飛行中のアメリカ空軍RC-135偵察機に、中国海軍J-11戦闘機が急接近、RC-135の主翼から3メートル以内、機首から6メートル以内という距離まで異常接近した。米軍偵察機は緊急退避行動を取り、事件発生空域から無事に離脱した。

中国軍のJ-11戦闘機(出所:台湾国防部)

 米政府は中国政府に厳重抗議したが、中国メディアによると中国政府は「中国の主権を侵害しようとした米軍機が危険な飛行をしている」と米側を非難している。