1998年11月、宮中晩餐会出席のため皇居を訪れた江沢民国家主席を出迎える天皇、皇后両陛下(写真:ロイター/アフロ)

「江沢民同志は、全党全軍全国各民族人民の共通認識となっている崇高な声望を持った卓越したリーダーであり、偉大なマルクス主義者であり、偉大な無産階級の革命家、政治家、軍事家、外交家であった。苦難を経験した共産主義戦士だった。中国の特色ある社会主義という偉大なる事業の傑出したリーダーだった。党の第三代中央集権の核心であった。『三つの代表』という重要思想の主要な提唱者だった……」

 12月6日午前10時(中国時間)から、北京の人民大会堂で、11月30日に96歳で死去した江沢民元総書記(1926年~2022年)の追悼式典が挙行された。代表して弔辞を述べた習近平総書記は、厳かな表情を浮かべて、江元総書記がいかに偉大なリーダーだったかを力説した。

習近平の追悼演説に漂う違和感

 私はCCTV(中国中央広播電視総台)のインターネット生放送で、追悼式典の模様を見た。

 自分の2世代前の江沢民元総書記のことを、習近平総書記がしきりに称賛する気持ちは、分からないではない。江元総書記を偶像崇拝すればするほど、その後継者である自分の正統性と偉大性も増すからだ。

12月6日、故江沢民元総書記の追悼式典が開かれた(写真:新華社/アフロ)