ロシアはウクライナのエネルギーインフラへの攻撃に戦略を切り替えた(10月31日、提供:State Emergency Service of Ukraine/ロイター/アフロ)

 ロシア軍によるウクライナでの軍事攻撃が続いている。

 これまで、戦略的インフラ(軍隊や軍事施設)が主なターゲットだったが、最近になって戦略に変化がみられ、狙われるのが民間のエネルギー施設や通信インフラ、輸送施設へと変わってきた。

 ウクライナ各地では、ロシア軍に攻撃された発電所やインフラ施設の復旧作業に追われており、すでに電力不足も発生している。

 今の時期に広範囲にわたって停電になれば、氷点下の気温に耐えられず、多くの住民がウクライナからヨーロッパ諸国に越境することもありうる。

 同問題に精通している米ジャーナリストのマイケル・ホイットニー氏によると、「ロシア軍の作戦目的は、戦争を行うウクライナ軍の能力を弱外化させることにある」という。

 さらに「いま攻撃されている電力網、鉄道、燃料輸送施設、指揮統制センターは戦争を早く終わらせるために計画された2段階のファーストフェーズに過ぎない」とのことである。

 ウラジーミル・プーチン氏のファーストフェーズの狙いは、ウクライナのエネルギー・インフラをミサイル攻撃して、大規模な停電を起こすことであるという。

 すでに夜通し続いた攻撃によってウクライナの広範な地域で停電が発生。

 それにより、プーチン氏はウォロディミル・ゼレンスキー大統領が二国間交渉に関与してくると読んでいた。

 しかし、ゼレンスキー氏はあらゆる場面で頑なに外交を拒否し、ロシアと戦う選択をしている。

 この決断は米ワシントンの政府関係者から支持されているためでもある。