ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「ウクライナで核兵器を使用するかもしれない」という核の脅威論が取り沙汰されている。
ロシアは9月、ウクライナ東南部4州を併合するか否かの住民投票を行い、「圧倒的多数」の賛成票が入ったことで、プーチン大統領は10月5日、併合条約を批准する法案に署名した。
ロシアにとっては少なくとも過去半世紀で最大の領土拡大となる。
ただ併合した4州は、全域でロシア軍が制圧しているわけではない。むしろウクライナ軍が猛反抗しているのが現状であり、ロシアが無理やり併合宣言をしたという認識が正しいだろう。
国際的に認められた他国の領土で主権を主張する今回の併合は、プーチン大統領の横暴さの表れと受け取れる。
こうした状況の中、安全保障問題の専門家を中心に、プーチン大統領がこの機に合わせて核兵器を使用するかもしれないとの議論がある。
外交問題専門誌である米『フォーリン・ポリシー』は、ロシアによる核兵器使用の可能性を示唆しながら「米国の曖昧な脅しはロシアの核使用を抑えられるか」というタイトルの記事を掲載。
新たに併合した領土を守るためにロシアは核兵器を使用するかもしれず、米国はどこまで阻止できるのかと疑問を投じる。
同誌の中で、首都ワシントンにあるジョージタウン大学のマシュー・クローニッヒ教授は次のように述べている。
「2月のロシア侵攻以来、ロシアによる核使用の可能性は高まるばかりである」
「バイデン政権は核兵器を使うべきではないとしているが、プーチン氏はそんなことは気にしていない」
「ロシア帝国の再興という目的ならば、母国の人命が犠牲になることも厭わないはず」