スプルーアンス級ミサイル駆逐艦を伴って太平洋上を航行する米空母「エイブラハム・リンカーン」(8月9日、米海軍のサイトより)

 中国は本当に台湾を軍事侵攻するつもりなのか――。

 台湾問題で米中の緊張が高まるなか、米首都ワシントンにあるシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)がいま、中国が台湾に軍事侵攻した時の戦争シミュレーションを行なっている。

 こうした戦争シミュレーションはこれまでも複数の研究機関で実施されてきた。

 今回CSISは、2026年に中国が台湾に大規模攻撃をしかけたと仮定し、その対応を様々な角度から研究している。

 ホワイトハウスからほど近いビルの5階で、同研究所の研究員だけでなく、退役将校や国防総省の元高官らが、今年9月までシミュレーションを続ける予定だ。

 シミュレーションは計22回も行われることになっており、これまで18回が実施され、今年12月に結果が公開される見込みである。

 すでに参加者が内容の一部を公表しており、シミュレーションの概要が見えてきている。

「(米中紛争によって)米国は多数の人的犠牲と物資を失うが、中国の侵略から台湾を守ることができることが分かった」とする肯定的な見方がある一方で、「台湾海峡を挟んだ戦争は、すべての交戦国にとって壊滅的な打撃になる」といった悲観論も出ている。

 シミュレーションの参加者は西太平洋と台湾が拡大された地図をもとに、「赤チーム」の中国と「青チーム」の米国・台湾に分かれて、チェスをするように軍隊を操っているという。

 CSISの上級顧問であるマーク・カンシアン氏が米メディアに述べている。