グリーンランドの氷が過去に例のない速さで溶け始めている

 グリーンランドの氷床が「驚くほど広範囲に、しかも想像以上のスピードで溶け始めている」とのニュースが先週から話題になっている。

 わずか3日間で180億トンの氷が融解して北大西洋に流れ出たというのだ。

 衛星写真を眺めると、グリーンランドの海岸付近に融解池が点在するのが確認できる。

 米国立雪氷データセンターのテッド・スキャンボス上級研究員によると、ほとんどの融解はグリーンランド北部で起きており、「180億トンという数字はウェストバージニア州を厚さ30センチで覆うことができる水量」だという。

 氷床が溶け出すと直接的には海面の上昇や洪水の発生を誘発することになるばかりか、高潮や海岸浸食など、市民生活に深刻な被害を及ぼす可能性がある。

 仮にグリーンランドの氷がすべて溶けると、海面がいまより約7.5メートル上昇すると言われている。

 氷床が溶け出している原因はいくつかあるが、最近の融解理由はグリーンランド上空に高気圧が張り出したことで、広範囲にわたって融解現象が起きたとされる。

 特に先週の3日間は、平年よりも気温が6度ほど高く、摂氏15度を超えたところもあった。 

 1980年代から90年代にかけて、グリーンランドではこうした融解が起きることはほとんどなかったが、2010年以降、融解が進むことが多くなった。

 例えば2012年と19年の両年は史上最大といわれるほどの融解が発生した。