「いま直面しているウクライナ危機というのは、米国が備えるべき最悪の事態ではない」
「ウォーミングアップに過ぎない」
米戦略軍司令官のチャールズ・A・リチャード海軍大将は11月初旬、多くの人の目を開かせるような発言をした。
「ウォーミングアップに過ぎない」の真意はもちろん、米国が将来、主要国と大きな戦争をする可能性があり、それに備えるべきということである。
リチャード大将がこの発言をしたのは米バージニア州アーリントン郡で開かれた海軍潜水艦連盟の2022年年次シンポジウムのことだ。
ウォーミングアップ発言の直後、会場にいた米軍関係者の目をさらに開かせるようなことを述べた。
「大きな(軍事的)危機が迫っている。米国が長い間、試されてこなかったことがテストされる日はそれほど遠い将来ではない」
少しばかり煽るような響きではあるが、これが軍事評論家の発言などではなく、現職の海軍大将の発言であるだけに真剣に受け止めざるを得ない。
特に中国を競争相手国として捉えており、「いくつかの迅速かつ、根本的な変化が必要になる」と述べたことで、会場にいた人たちは危機感の高まりを感じた。
米国が今後、抑止力を強化しなくてはいけない理由を、同大将は「中国に打ち倒される(it is going to be bowled over)かもしれない」という表現を使った。
そしてこうも言った。