カタールワールドカップのキーマンとして活躍が期待される遠藤航(現在は脳震盪の回復プロコトルの中)。

今夏、小さいころから「憧れの人」だった中村俊輔と対談をし、そこである気づきを得る。

それは森保ジャパンが批判されるとき、つねに指摘されてきた「戦術」についての中村俊輔の指摘だ。

遠藤航が今月に刊行した『DUEL 世界に勝つために「最適解」を探し続けろ』に記された「戦術」とは。全4回の第3回。

こんなにも「戦術的なのか」と驚いた

 サッカーには正解がない。

 その思いを強くしたのはヨーロッパでプレーをし始めてからでした。

 大事なキーワードとなる「戦術」について考えながら、その経緯や意味をご紹介したいと思います。

 僕の中で「戦術」の重要性が大きく変化したのは、シュツットガルトでプレーをするようになってからです。

 実は、小中学校そしてJリーグでプレーしていたとき、「戦術」的なことをいまほど重要視していませんでした。

 もちろんどのクラブにもスタートのフォーメーションがありますし、チームとしての約束事や、やり方、戦い方が決まっていました。また、個人としても目の前の相手に対して、どういうアクションを起こすか、ピッチ上に穴はないか、チャンスはないか、そんなことを考えていたことも確かです。

 ただ、そんな日本時代よりももっと明確に、表現は難しいですが「システマチックに」、戦術によって勝利を目指すのがブンデスリーガでした。

 チームとしてどういう戦い方をするか。

 大きな言葉で言えば、勝つためにどんなサッカーをするのか。

 細かく言えば、ピッチ上のどこに立つべきなのか。