(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
毎年11月の第3木曜日は、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日だ。今年は17日にあたる。日本は時差の関係で地元のフランスよりも8時間ほど早く午前0時の解禁を迎える。
しかし、そもそもボジョレー・ヌーヴォーという、フランス南部ブルゴーニュ地方のボジョレー地区で、その年に収穫されたガメイ種というぶどうから造られる新酒を味わう文化や風習など、当たり前の話だが、日本にはなかった。小売業界などが意図的に囃し立てて商売につなげたものだ。その市場も2004年をピークに、売上の右肩下がりが続いているという。
人々の消費欲を刺激する新しい社会的慣習
韓国ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)で157人が死亡した群集事故から2週間が過ぎた。当日はハロウィンを前にコスプレをした大勢の若者が狭い坂道に押しかけて、事故につながった。
日本でもハロウィンとなると東京・渋谷にコスプレの人々が集まることが恒例化して、そこで若者が暴れることが社会問題にもなった。しかし、こうしたことは少なくとも私の学生時代にはなかったし、コスプレをした人々が集まるというのも本場とは違うスタイルで、日本独自に発展した。それでも新進の社会的な行事が新しい消費を生む。
中国の北京オリンピック、といっても今年の冬季大会ではなく、2008年の夏季大会の直前の北京市内を取材してルポにまとめたことがある。当時は胡錦濤が国家主席だった時代。