原爆ドーム(広島市中区)(写真:Abaca/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 アメリカは原爆攻撃を含む数多くの無差別爆撃まで実施して、日本を破壊し尽した。第2次世界大戦での敗戦から77年も経過した今こそ、日本はそんなアメリカの核兵器を含む軍事力にすがりついている現状、すなわちアメリカの軍事的属国としての卑屈な姿を直視すべきである。

 前回の本コラム(「どの手を打ってもアメリカの支配から逃れられない日本の『核抑止』」)で指摘したように、核戦略に関する議論を避け続けると、いつまでもアメリカの軍事的属国のままであり、核シェアリングという核武装をすればさらにアメリカへの従属度合いが深まってしまう。

 それでは、日本は如何なる核戦略に立脚すれば、アメリカから完全に独立し、自尊自立の気概に基づく独立国となりうるのであろうか?

「永世中立」を打ち出して日米同盟から離脱する

 そのような核戦略が「非核重武装永世中立」である。

 第2次世界大戦敗戦後に日本の実質的“支配者”であったマッカーサーは、日本の非武装永世中立国化を推進しようとした。しかしながら中国大陸や朝鮮半島への共産主義勢力の浸透を食い止めるために、アメリカにとって必要な限度において日本を再武装させアメリカの軍事的属国として使用する価値が生じたため、日本の非武装中立化のアイデアは捨て去られてしまった。