ツイッター買収の目的は何だったのか?

 直近のマスク氏の話題といえば、やはりツイッター買収劇だろう。発端はマスク氏がツイッター社の全株を取得し、非公開化を目指すとした提案が米当局への届け出で明らかとなったことだった。このニュースに世界は驚いた。

マスク氏がツイッター社の買収を持ちかけた真の狙いは?(写真:ロイター/アフロ)

 電気自動車と宇宙ロケットというリアルの世界で活躍してきたマスク氏が、いまさらサイバーのツイッター社を買収して何がしたいのか。様々な憶測がネットに流れた。当初、買収提案に猛反発したツイッター社だったが、4月25日になると約440億ドル(約6兆円)でマスク氏による買収に合意した。

 ところが買収はすんなりとはいかなかった。マスク氏はツイッター利用者に占める偽アカウントの割合を問題視し、5月13日、買収手続きを一時停止すると言い出した。そして、7月8日にツイッター買収を撤回するに至った。「おいおい、この3カ月は一体何だったんだ?」という声が出るのも当然である。

 マスク氏は今回のツイッター買収からの撤退理由について、偽アカウント問題を挙げていたが、これは急に浮上した問題ではなく、以前から問題視されていた。ツイッター創業者でCEOだったジャック・ドーシー氏と2020年に行われた対談でも、「本物のユーザーと、偽のユーザーを区別すべき」と強調していた。

 しかし、急に買収を撤回すると言われてもツイッター側からすれば「はい、わかりました」とはなるはずもなく、合意していた買収の履行をイーロンに求めて7月12日に訴えを起こした。そしていま、裁判の行方に世界の注目が集まっている。

 ところで、マスク氏はツイッターをどうしたかったのか? ツイッターについて「WeChatやTikTokのようになるべきだ」と彼は考えていた。WeChatはメッセージだけでなく、ゲーム、決済、配車サービスなども備えている。また、TikTokについては、ユーザーを楽しませるアルゴリズムの秀逸ぶりを高く評価していた。

 そして、ツイッターの将来像として、広告収入を半分以下に抑え、ユーザーを惹きつけるサブスクや有料サービスを充実させていく考えを持っていた。その結果、アクティブ・ユーザー数を現在の約2億3000万人から10億人へ増やすという壮大な構想を持っていた。