イーロン・マスクCEO(写真:AP/アフロ)

 米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)がオフィス職の従業員に対し出社再開を求めたと、米ウォール・ストリート・ジャーナル米CNBCロイター通信などが6月1日に報じた。

対面にこだわるマスク氏

 同氏は、2022年5月31日付の従業員宛の電子メールで、少なくとも週40時間オフィスで勤務するよう指示した。「もし現れないのなら退職したと見なす」と、出社か退職の2択を迫ったという。

 「リモートワークを希望する人は、週に最低40時間(そう“最低”だ)オフィスにいる必要がある。それともテスラを去るかだ。これは工場のスタッフに求めている時間よりも少ない」とし、「不可能と言うのなら、私が直接確認してから特例を認めよう」と続けた。

 マスク氏は「もちろん、出社を義務づけない会社もあるが、彼らが素晴らしい新製品を最後に出したのはいつか。かなり前のはずだ」と主張。

 また、「私は工場で長時間を過ごし、製造ラインの従業員は、彼らと共に働く私の姿を見てきた」とし、幹部が姿を見せることの重要性を強調。「私がそうしていなかったらテスラはずっと前に倒産していただろう」と付け加えた。

 同氏は「テスラは、地球上のあらゆる企業の中で最もエキサイティングで有意義な製品を創造し、実際に製造している。これは電話で済ませられるようなことではない」とも述べた。

グーグルやアップルは在宅認める方針

 こうしたマスク氏の強硬な姿勢は、米シリコンバレーに拠点を置く多くの企業とは異なると、ウォール・ストリート・ジャーナルは伝えている。

 米グーグルは22年4月に大半の社員が週3日出社するハイブリッド型勤務に移行した。だが、米労働市場の逼迫や、過去2年にわたり在宅勤務が容認されたことを背景に、多くの技術職員が反発した。グーグルでは16万6000人の社員のうち、1万4000人超が完全なリモート勤務か、新しい職場への転勤を求めた。グーグルの広報担当者によると、同社はそれらの要求の85%を認めたという。

 米アップルは22年4月前半に少なくとも週1回の出社を開始。その後週2日に移行し、5月下旬から月・火・木曜日の週3日にする計画だった。だが柔軟な働き方を求める社員からの猛反発を受け、その後、当面週2日出社を継続することにした。

 アマゾン・ドット・コムは21年10月、オフィス職社員の出社日数を固定せず、出社の判断は各部署の管理者に任せる方針を明らかにした。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米ゼネラル・モーターズ(GM)も同様に、現場以外でも仕事が可能な社員に対し、マネジャーと相談し最も効率的に働ける場所を決められるようにした。米フォード・モーターも同様のアプローチで柔軟な働き方を可能にしているという。

マスク氏、「出社」は「勤勉な働き」

 マスク氏は、20年3月にテスラの工場が立地する米カリフォルニア州アラメダ郡の保健当局が工場の操業停止命令を出した際、「新型コロナウイルスよるパニックのリスクがウイルス自体のリスクを上回っている」と猛反発。「人々に自由を返せ」と訴えていた。

 マスク氏は「出社」と「勤勉な働き」を結び付けて考えているという。同氏は先ごろツイッターへの投稿で、従業員が自宅で怠けているとの考えを示したという。「すべての在宅勤務スタッフは、『我々は懸命に働く必要はない』という悪い考えを吹き込もうとしている」と批判した。

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