アップル本社(写真:ロイター/アフロ)
米テクノロジー大手が次々と出社再開を進める中、柔軟な働き方を求めて会社の方針に反発する動きが出ている。深刻な問題になりつつあると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが5月16日に報じた。
グーグルやアップル、ハイブリッド型で再開
米グーグルは2020年3月、新型コロナの感染が急速に広がったことを受け、米カリフォルニア州の本社などで在宅勤務に切り替えた。その後出社再開時期を何度か延期していたが、22年4月に大半の社員が週3日出社するハイブリッド型に移行した。
だが、競争が激化する米労働市場に加え、過去2年にわたり在宅勤務が容認されたことを背景に、多くの技術職員が反対しているという。
グーグルでは16万6000人の社員のうち、1万4000人超が完全なリモート勤務か、新しい職場への転勤を求めた。広報担当者によると、同社はそれらの要求の85%を認めたという。
企業向け給与計算サービスの調査部門、米ADPリサーチ・インスティテュートが3万2000人を対象に行った調査によると、3分の2がフルタイム出勤を義務づけられた場合、新しい仕事を探すと回答した。米民間調査機関ピュー・リサーチ・センターによると21年に仕事を辞めた人の35%が、その理由として別の地域に移転したかったからだと答えた。
アップル社員、幹部に方針を見直し要求
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米アップルの社員らでつくる「Apple Together」と呼ぶグループは、幹部宛の公開書簡で会社の出社再開方針を見直すよう要求した。書簡には1400人以上の現職・元社員が署名した。アップルでは22年4月前半に少なくとも週1回の出社を開始し、
この書簡で社員らは「私たちを、いつどこにいなさい、宿題はこれをしなさい、などと言われなければならない児童のように扱うのはやめてほしい」と訴えた。アップルは米国で約16万5000人を雇用しているという。
「どこでも勤務」容認のツイッターやエアビー
米テック大手の中ではグーグルやアップルのほか、米マイクロソフトなども社員に出社再開を求めている。米国ではコロナ禍の在宅勤務の広がりを背景に、家賃の高いテクノロジー拠点から離れて他の都市に移住した人も多くいる。そうした人や在宅の継続を希望する人は、再びオフィス近くに引っ越すか、長距離通勤を覚悟するか、会社を辞めるかの選択を迫られているという。
一方で、柔軟な働き方を認める企業はこの動きをチャンスと捉え、ライバル企業から人材を奪っている。民泊大手の米エアビーアンドビーは22年4月、「社員は海外も含め、どこからでも遠隔で勤務できる。給与は減らない」と明らかにした。告知後の3日間で同社の募集サイトには約80万件のアクセスがあったという。
米SNS(交流サイト)のツイッターや米不動産情報のジローもほとんどの社員に対し勤務地を定めていない。
ウォール・ストリート・ジャーナルの22年3月23日付記事によると、メタ(旧フェイスブック)では、マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)を含む経営幹部が、シリコンバレーの本社から遠く離れた場所に散らばり、リモートワークの限界に挑戦しているという。
ただ、一部のテクノロジー大手はここに来て成長が鈍化している。これにより新規採用ペースを緩める動きも出てきた。今後は米労働市場の需給バランスが崩れ、社員側の要求が通りにくい状況が生まれる可能性もあるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
(参考・関連記事)「メタやツイッター、テック大手の新規雇用が大幅鈍化 | JDIR」






