アップル本社(写真:ZUMA Press/アフロ)

 米アップルが従業員の給与を引き上げる方針を明らかにしたと、米ウォール・ストリート・ジャーナル米CNBCが5月25日に報じた。物価上昇や労働市場の逼迫、時間給労働者の組合結成に向けた動きなどを受けた措置だという。

直営店の最低時給22ドルに

 2022年5月25日付の従業員宛電子メールで「全体的な報酬予算を増額する」と述べた。米国の時間給従業員の初任時賃金は1時間当たり22ドル(約2800円)となり、18年比で45%増える。米労働市場の状況によってはさらに上がる可能性もあるという。米国でのオフィス職の初任給も引き上げられる見通しだとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

 アップルの広報担当者は「世界最高のチームメンバーを支え、維持していくことで最高かつ最も革新的な製品とサービスを顧客に提供できるようになる」と述べた。「22年は年次業績評価プロセスの一環として全体的な報酬予算を増やす」としている。

 今回のアップルの動きは、他のテクノロジー大手に続くものだという。米マイクロソフトは22年5月、成果ベース昇給向けの予算を世界全体でほぼ2倍にする計画を社員に伝えた。米グーグルや米アマゾン・ドット・コムも最近、人材確保・維持のために報酬体系を見直したとCNBCは報じている。

社員の反発で週3日出社を撤回

 アップルはこの数カ月間、従業員らの反発に遭ってきた。22年5月17日には、同社が社員の出社を当面、週2日のままにすることを決めたと報じられた。