カルフォルニア州クパチーノ アップル本社(写真:ZUMA Press/アフロ)
米アップルがオフィス部門の出社再開を無期限で延期したと、米ウォール・ストリート・ジャーナルや米ニューヨーク・タイムズなどの米メディアが12月15日に報じた。
クックCEO「再開時期まだ決めていない」
ティム・クックCEO(最高経営責任者)が従業員宛のメッセージで状況を伝えた。感染力が強いとされる変異型「オミクロン株」の急激な広がりを受けた判断で、在宅と出社を組み合わせたハイブリッド勤務形態の導入を遅らせると伝えた。「再開時期はまだ決めていない」としている。クックCEOは、ホームオフィス用家具などの購入費用として追加で1000ドル(約11万5000円)を支給することも明らかにした。
新型コロナの感染拡大を受け、アップルは2020年3月ごろから在宅勤務に移行した。その後ワクチン接種の普及に伴い、21年6月や同9月、同10月など幾度か再開時期を定めたが、いずれも延期した。直近では22年2月の出社再開を予定していると報じられた。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アップルは段階的なオフィス再開を目指している。まず週に1~2日、その後は週3日を出社日とするハイブリッド型を早ければ22年1月にも導入したい考えだった。
出社再開の延期相次ぐ
米IT(情報技術)大手の出社再開を巡っては、米メタ(旧フェイスブック)が時期を最大で22年6月まで遅らせることができる制度を設けると明らかにしたばかり。メタも米国オフォスの全面再開を22年1月末に予定していた。
米グーグルも先ごろ出社再開を再延期すると発表。同社もこれまで22年1月10日から出社と在宅を組み合わせた勤務形態を導入するとしていたが、先ごろ社員に「今後の感染状況を見極めたうえで年明けに判断する」と告げた。
また、米アマゾン・ドット・コムも22年1月から実施する予定だった再開計画を変更。オフィス勤務社員の出社日数を固定せず、出社の判断は各部署の管理者に任せるとする新方針を打ち出した。
アマゾンのアンディ・ジャシーCEOは社員宛てのメッセージで「今後もほとんどの仕事をリモートで行うチームもある。オフォス勤務と在宅勤務を組み合わせるハイブリッド型を選択するチームある。オフォス勤務であることが顧客にとって最善と考えるチームもある」とし、「週に何日あるいは何曜日に出社する必要があるかは、会社としてあえて決めない。勤務体制は管理職であるディレクターがその幹部やチームとともに決める」と説明した。
オフィス協業重視も社員は「柔軟な働き方」要求
アマゾンなどのIT大手はオフィスでの共同作業を重視する傾向がある。アマゾンは当初「オフィスを中心とする企業文化への回帰」を掲げていた。同社のアーディン・ウィリアムズ人材開発担当副社長は20年にウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、「人とつながる能力や、チームが目的のために協働する能力はリモート環境でも可能だが、自然発生はしにくい」と指摘。「再びオフィスに戻る日を楽しみにしている」と述べていた。
だが、米国における労働市場の競争激化を背景に、IT大手は社員の声を無視できなくなっている。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ハーバード大学大学院経営学研究科のセダール・ニーリー教授は「社員は柔軟な働き方を求めており、それを提供しない企業は人材を失う」と指摘している。
米マサチューセッツ・ミューチュアル・ライフ・インシュアランスが今夏に米国労働者1000人を対象に行ったアンケート調査では、41%が「出社勤務の再開を待ち望んでいる」とした一方で、29%が「ハイブリッド勤務や在宅勤務を好む」、10%が「出社再開を良いとは思わない」と回答した。
米シリコンバレーや米シアトルなど、IT大手が本社やオフィスを構える都市の住宅価格が高騰していることも出社反対派が増えている一因と考えられる。コロナ禍に伴う在宅勤務への移行を機に、米テキサス州などの他州に転居した人も少なくないと指摘されている。
(参考・関連記事)「米テック大手、オミクロン警戒で出社再開を再延期 | JDIR」






