(写真はイメージです/Pixabay)

(馬 克我:日本在住中国人ライター)

 7月8日、安倍元首相が暗殺され、中国のネット上では不幸を喜ぶコメントがすぐさま数多く投稿された。これらのコメントは、「大翻訳運動」のボランティアによって日本語に翻訳され、ツイッターで拡散している。

「大翻訳運動(The Great translation Movement)」は、ロシア・ウクライナ戦争が発端となって始まった。戦争勃発後、中国のネット上はロシアを支持する過激な言論で溢れた。

 その後、米国の掲示板型ニュースサイト「Reddit(レディット)」に、このような言論を各国の言葉に翻訳し、中国の過激な民族主義のありさまを世界の人々に伝えようと呼びかける中国語のコンテンツが掲載された。そして、一部の留学生や海外で暮らす中国人が匿名で参加して、民族主義的な発言や情報を各国の言葉に翻訳した。それらがツイッターなどSNSを通して投稿・拡散されている。

 この活動は、世界で思わぬ影響力を持った。英紙「ガーディアン」は、大翻訳運動により、ロシア・ウクライナ戦争における中国の真の態度が英語圏に伝えられたと報じた。また独メディア「ドイチェ・ヴェレ」は、「翻訳されているのは主に一部ネットユーザーの言論だが、中国政府のイメージに悪影響を与える。中国政府は適切に対処しないと、中国政府の国際的イメージを傷つける」と言及した。