(英エコノミスト誌 2022年6月11日号)
メリトポリなどロシアの占領下にある都市で、隠密のレジスタンスが続いている。
ロシア軍はウクライナ侵攻3日目に、鉄路の要衝で戦略的に重要な都市メリトポリを制圧した。どうやら親ロシアに転じたウクライナ人たちがその道のりを容易にしたようだった。
それに比べると、ウラジーミル・プーチン大統領とクリミアを陸路で結ぶ橋の欠かせない部分であるメリトポリを支配することは、もう少し厄介だった。
驚くような報告が数日おきに飛び込んでくる。
5月18日には装甲列車が破壊され、戦闘指揮所の一つが手榴弾で攻撃された。同22日には鉄道のレールとレーダー基地が爆破された。
29日にはウクライナ支持のデモが行われ、30日には親ロシア派の人物の自宅が爆破された。
ウクライナ側は、自国のパルチザン(遊撃兵)がメリトポリのロシア兵を敵陣内で100人以上殺害したとしている。
「我が国の国民は、占領軍の足元で地面が燃えるように、ありとあらゆる手だてを講じている」
今はウクライナの支配地域で無事にいるメリトポリ市長のイワン・フェドロフ氏はこう語る。
ロシア支配地域で相次ぐ攻撃
メリトポリはウクライナのレジスタンス(地下抵抗運動)の非公式の首都だ。
米国を本拠地とする戦争研究所が作成する地図では、この都市は3月半ばから、しま模様で覆われている。パルチザンが活発に活動している地域という意味だ。
だが、そのような作戦行動が展開されているのはメリトポリだけではない。
隣のヘルソン州では、ロシアが支配下に置いた空軍基地で爆発が20回ほど起きている。
欧州最大の原子力発電所があるエネルホダルでは、親ロシア派のアンドリー・シェフチク市長が暗殺されそうになった。