想像以上に厳しいおじさんのセカンドステージ

 その後Iさんは、お酒の配達やレンタカーの回収などのアルバイトの面接を受けた。しかしいずれも報酬が安過ぎたり、採用されなかったりと、薄毛モニター以外の副業にはたどり着けていない。

「副業もなかなか難しいですね。車を使う配送業務は、最近、あまり運転をしていないという点がマイナスだったようです。簡単そうに見える仕事でも、おじさんは意外と雇ってもらえないということがわかりました。次は倉庫作業やウーバーイーツにエントリーしてみようかなと考えています」

 おじさんが外でできるバイトは、怪しげなモニター体験か、ウーバー、倉庫作業しかないのか。Iさんに、投資など外で働く以外の副業は考えていないのかと聞いてみた。

「私は研究所の世界で生きてきたので数字には強いのですが、世間を知りません。ですから金融の知識にも疎くて、投資などに手を出すのも怖いんですよ。そもそも、子ども二人が大学に行っている最中で、投資の資金をねん出するのも難しいです」

 物価や税金は上がっているのに、収入は増えない。おじさんは採用されない。正社員の中高年男性という日本では最も身分が高いはずの人たちが、セカンドステージでは奈落の底に落とされる運命にある。

 やはりおじさんは転職という甘い夢は見ずに、「今の会社」という生命維持装置にしがみつけるだけしがみつくしかないのだろうか。

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