「韓東勲失脚」を狙った文在寅政権
検察組織のNo.1・尹錫悦総長の右腕と呼ばれていた彼には、「最年少検察総長」の座もほぼ約束されたようなものだった。
ところが、2019年9月、いわゆる曺国捜査が始まると、韓氏のキャリアは暗転してしまう。最高検察庁反腐敗・強力部長として捜査を陣頭指揮した彼は、曺国氏とチョン・ギョンシム夫妻など、関連者を裁判に渡す成果を得たのだが、そのことが文在寅政権から恨まれ、茨の道を歩くこととなったのだ。2020年1月、曺国氏の後任として法務部長官に任命された秋美愛(チュ・ミエ)氏は、検察の曺国捜査チームのメンバーを全員左遷させたが、中でも韓氏は4度にわたる左遷を食らわされた。
韓氏に対する政権の報復はこれだけではなかった。
2020年6月、彼は、親政権メディアのMBCが報道したいわゆる「チャンネルA事件」に関与した嫌疑で検察調査を受けるハメになった。
東亜日報系列のケーブル放送局「チャンネルA」の記者が、金融詐欺の疑いで服役中のB氏に接近し、有力政治家の柳時敏(ユ・シミン)氏が本事件に関与していると証言するよう懐柔・脅迫したというのが本事件の本質だ。
そうした中、MBCはチャンネルA記者とB氏の代理人の通話記録を入手したとし、チャンネルA記者がB氏を懐柔中に韓氏の名前を取り上げたとする部分を編集して報道した。そして「韓氏がこの事件にかかわっていると見られる」と主張した。