(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)
米国の民主党バイデン政権が新設した「偽情報統治委員会(DGB)」という組織が奇妙な波紋を広げ始めた。
DGBは、米国の国内政治や対外関係を混乱させる虚偽情報「Disinformation」を監視し、管理し、反撃するための政府機関とされるが、その運営責任者に選ばれた女性はかつて民主党陣営での政治活動のなかで、偽情報を事実だと断定していた記録があることが判明した。その結果、連邦議会などでは、この人事だけでなく新機関の設置自体への激しい反対が巻き起こっている。
外国からの偽情報に対応する専門組織
バイデン政権は4月末、国土安全保障省内に「偽情報統治委員会」を新設したことを発表した。この機関は主として外国からの偽情報を捕捉し、米国における被害を抑え、反撃することを専門任務とするという。
虚偽情報への対策としては、トランプ前政権時代にも国務省内に「グローバル関与センター」という機関が設けられた。この機関は偽情報だけでなく外国政府による政治プロパガンダや米側メディアへの働きかけなど情報面での総合対策を任務としていた。