ツイッターに復帰するトランプ氏
米実業家イーロン・マスク氏は5月10日、ツイッターを買収した暁にはドナルド・トランプ前大統領の永久追放を覆すとの認識を示した。
「追放の決定が(前大統領を支持する)多数の国民を疎外し、トランプ氏の発言権を失わせるに至らなかった。その結果、保守派内でのトランプ氏の発言力が強化された」
「誤りのある投稿は削除したり、見られなくしたりすべきだ。投稿の一時停止は適切だが、永久的な禁止は不適切だ。追放は詐欺行為などに限定されるべきだ」
(https://www.washingtonpost.com/technology/2022/05/10/musk-talk-twitter/)
同氏のツイッター買収は数カ月後に実現する。中間選挙前にトランプ氏が再びツイッターで持論を発信するのは必至だ。
(トランプ氏は、自らのインターネット交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に注力し、ツイッターへの復帰は否定している。ただ、一部報道は、それは表向きの説明で、ツイッターへの関心を失っていないと指摘している)
マスク氏は、ツイッターがバイデン氏の息子、ハンター氏が2020年大統領選当時使っていたラップトップコンピュータの内容について報道したニューヨーク・ポスト報道を事前検閲して削除したことを取り上げて、「過激リベラル派的な偏重だ」と厳しく批判したことがある。
2021年1月6日の米議会襲撃事件を契機にツイッターがトランプ氏の投稿を永久追放したことについては保守派の間には強い不満があった。
あたかもトランプ氏が「暴徒」を唆(そそのか)したかのような前提で削除したと見ていた(その因果関係については下院特別委員会が今なお徹底調査中だ)。
問題は、マスク氏が決定するトランプ氏の復帰の時期だ。マスク氏がツイッターの最高経営責任者(CEO)になるのは10月上旬。中間選挙1カ月前である。
それでなくとも米国は今、保守派とリベラル派とが人工妊娠中絶から移民問題、LGBTQ問題などで真っ向から対立、国論は二分されている。
この状況は中間選挙までにさらに激化することはあっても収まることはなさそうだ。
そこに今までツイッターから疎外されていたトランプ氏が戻ってくる。国論分裂の火に油を注ぐようなものだ。