ロシアはマリウポリ制圧で停戦に動く?
2月24日に始まったロシア軍のウクライナ本格侵攻は、2カ月弱で大きな節目を迎えた。
ウラジーミル・プーチン露大統領にとっては、ウクライナ南東部の「ドネツク人民共和国」と「ルハンスク人民共和国」を名実ともにロシア傘下の「独立国家」にするという目標を達成するためには、要衡であるマリウポリを奪取することが必要不可欠だった。
そのマリウポリを事実上制圧した。
5月9日の旧ソ連の対ドイツ戦勝記念日に向けて勝利を演出したいプーチン氏とっては成果と言える。
ただウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「(マリウポリの)一部にウクライナ部隊が残っている」と発言。ジョー・バイデン米大統領もロシアが実際に制圧したかどうか「疑わしい」と懐疑的な見方を示している。
マリウポリのペトロ・アンドリュシェンコ市長顧問は4月21日、「プーチン氏は制圧が実現していないにもかかわらず廃墟を背に勝利を訴えたいだけだ」と指摘。宣言後も「製鉄所への砲撃や、製鉄所から離れた場所での戦闘が続いている」と主張している。
激しい戦闘と並行して繰り広げられているロシアとウクライナの火花を散らす情報戦は、停戦に至る最後の最後まで続きそうだ。
5月9日まであと3週間余。4月26日には、国連のアントニオ・グテーレス事務総長(元ポルトガル首相)がモスクワに赴き、プーチン氏と停戦に向けた協議を行う。
西欧の首脳らの説得には耳を貸さないプーチン氏としても国連事務総長なら「調停役」として受け入れざるを得ないかもしれない。
むろん、それまでに停戦交渉を有利に進めるだけの「成果」は整えておきたいところだ。