(北村 淳:軍事社会学者)
日本では、ロシアによるウクライナ侵攻に関して、ウクライナあるいはゼレンスキー大統領に対して少しでも批判的あるいは疑義を差し挟むような意見を表明したり、ロシアやプーチン大統領の肩を持つかのような意見を表したならば、たちどころに袋叩きに合う現象がみられる。
その状況はアメリカでも似通っている。
とはいってもアメリカでは、バイデン政権のウクライナ支援の対応を批判する声もある。
たとえば、バイデン政権がロシアと直接の軍事衝突は避けつつも外交的経済的に真っ向から衝突する道を選択したことは、国家安全保障戦略を、インド太平洋地域重視から再びヨーロッパ・大西洋重視に引き戻そうとする目論見である、という批判も聞かれる(とりわけ、中国との対決に大きく舵を切り準備を進めている海軍・海兵隊やシンクタンクなどの関係者の間でそうした批判が強い)。