ロシアによるウクライナ侵攻が続いている。短期での勝利を予定していたロシアは戦局が不利になっており、各種制裁によって経済的にも追い込まれているとされる。だが、ロシアへの制裁には多くの抜け道があり、これがロシアの軍事行動を助長し、停戦交渉を阻害している面がある。(加谷 珪一:経済評論家)
100%の効果を発揮できていない経済制裁
日本を含む西側各国は、ロシアに対して経済制裁を行っている。経済的に苦しい状況に追い込むことで、戦費の調達を困難にしたり、プーチン体制に対する国民の不満を高めたりすることが狙いである。
ロシア軍は苦戦が報じられているが、少なくとも現時点においてロシア軍が完全撤退する気配はない。一般的に経済制裁が効果を発揮するまでには、ある程度の時間がかかるので、制裁の効果が発揮されてくれば、戦争の継続が困難になると期待されている。
確かにそうしたシナリオになるのは望ましいことだが、今の制裁を続けていれば、自動的にロシア側が困窮し、一方的に撤退を決断する、あるいは容易に停戦交渉が進むというのは、少々楽観的過ぎるだろう。実は、今、行われている経済制裁には多くの抜け道があり、(相当な制限はあるものの)ロシアには経済活動を維持する余地が残されている。