こういった場だと、売り手とお客さんや、お客さん同士でも会話が生まれていくんです。ふつうの買い物とは違いますよね。その様子を見た企業も、気持ちのいいイベントだと共感してくれて、後援にもつながっています。

藤田 いいですね。私は実家が台東区の谷中(※)にあるんですが、たまに戻るとやはりほっとします。あの地域は、人とのつながりが感じられる昔の様子が残っているんですよね。人と人がつながって、異なるコミュニティ同士が出会える場は魅力的です。SNSでつながればよいという方もいますが、人とのつながりはもっと、ヒューマンタッチであるべきかなと。そういう意味でリアルな交流は、ウェルビーイングの大きな要素なんだと思います。

(※)東京都台東区谷中。東京の下町のなかでも特に昭和の面影が色濃く残るエリア。

工藤 これらのイベントから、北欧各国の大使館とのつながりもできました。中でもスウェーデン大使館は、とても積極的で、企画から関わってくれるイベントもあります。フィンエアーとフィンランドを旅する様子をライブビューイングしたイベントもありましたね。

藤田 幼い頃、私もスウェーデンで過ごしたことがあります。また、キシリトールの原料メーカーであるフィンランド企業の日本での立ち上げに携わっていたこともあり、北欧とは何かと縁深いんです。なかでもフィンランドのヘルシンキは一見素朴な街に見えるんですが、世界でも類を見ないほどクラブカルチャーシーンが熱い。なぜだと思いますか?

 それは、やはり日照時間の影響だと思います。冬場の昼は3時間ぐらいしかありませんから。逆に夏は白夜です。人々は一晩中遊び続ける。夏に遊び貯めておかないと、冬の厳しさを乗り切れないといってもいい。ほとんどのレストランが21時以降はクラブに変わり、盛り上がり続けます。そんな文化なんです。

工藤 よくわかります。北欧の人々の太陽への思い。晴れているだけで幸せだといいますよね。世界幸福度ランキングで1位をとり続けている理由がわかる気がします。