3月になって、欧米の格付け機関はロシアのソブリン長期格付けを相次いで引き下げた。
まず、3月3日にS&PがCCC-へ、これは「当該債務が不履行になる蓋然性は現時点で高く、債務の履行は、良好な事業環境、金融情勢、および経済状況に依存している。
事業環境、金融情勢、または経済状況が悪化した場合に、債務者が当該債務を履行する能力を失う可能性が高い」という評価である。
3月6日にはムーディーズがCaへ、これはデフォルトの1つ上の格付けである。
3月8日にはFitchがCへ、これは「デフォルトはimminent(差し迫っている)」との評価であり、主要格付け機関がロシア国債のデフォルトが不可避と見ていることにほかならない。
格付けもさることながら、これらの格付け機関は格下げ発表と前後してロシアでの営業停止を発表している。
こうした評価の背景にはウラジーミル・プーチン大統領が3月5日に署名した大統領令で、臨時の措置として「非友好国」に対する外貨建て債務の利払い・返済をルーブルで行うことを容認したことがある。
この大統領令はロシア財務省が当初の約束通りに外貨での利払い・償還を行うことを禁じたわけではない。
しかし、ロシア金融を取り巻く現在の状況、すなわちロシア中銀の海外資産差押え、ロシア主要銀行のSWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除などに鑑みれば、ロシア政府が利払い・償還を外貨で行う可能性は低いと見られている。
もし仮にルーブルで利払いが行われた場合、たとえルーブルレートが市場実勢であったとしても、ロシア国内の外国為替市場は現在機能停止状態にあるのでルーブルを外貨に交換する手段がない。