ロシアでは反体制派リーダーのナワリヌイ氏の収監、またウクライナ国境での軍事的緊張の高まりを背景に、米国が主導する対ロシア制裁への懸念が強まっている。
これを先取りする意図なのか、米ウエブ会議サービス企業の大手Zoom社がロシアの政府関係機関(国立大学を含む)に対する有料サービス提供の中止を打ち出し、新型コロナ・パンデミックが続くロシアではちょっとした騒動となっている。
ロシアでも人気高いZoom
ことの発端は4月7日のロシアの経済紙コメルサントの記事である(https://www.kommersant.ru/doc/4761730 :ロシア語)。
同記事ではZoom社のロシア・CIS地域におけるサービスプロバイダーであるRightConf社は、傘下のパートナーに対して3月31日付のレターで、ロシア・CIS地域の政府関連機関・組織に対してZoomの有料サービスを停止する旨を伝えたと報じている。
Zoomはロシアにおいても人気のアプリケーションであり、中小のビジネス、教育機関などでの利用が多い。
特にコロナ禍でオンライン授業がロシアでも主流となっており、多人数への講義が必要となる教育機関に与える影響は大きい。
当然、ロシア側からは反発の声が上がった。
4月7日のタス通信が伝えるところでは、ロシア上院の憲法法律委員会メンバーであるアレクサンダー・バシュキン議員はZoomアプリのロシア国内での使用を禁じるべきと発言している。
Zoom米本社は、同決定はロシアの代理店(RightConf社)の判断によるものであり、Zoomサイトから有料サービスの申し込みは従来通り可能であると弁明を行っている。
米系テック企業によるこうした動きはこれが初めてではない。