このところ、ロシアにおける顔認証技術の報道が目に付く。
ロシアで顔認識と聞くと、すぐに国民監視に用いられるのではないかと日本では勘繰る向きが多いのではないだろうか。
実際、2020年春の新型コロナウイルス感染症パンデミックに伴うロックダウン期間中には、モスクワの街中やアパートの入り口に設置されたセキュリティカメラが違反者摘発に大活躍したと報じられている。
(https://www.sankei.com/world/news/200426/wor2004260012-n1.html)
また、今年(2021)初の反体制派アレクセイ・ナワリヌイ氏帰国をきっかけに毎週末行われたモスクワ市内中心部での反政権デモでも顔認識技術がクローズアップされた。
というのも、市内に20万台ともいわれるセキュリティカメラのデータが治安当局に提供され、画像データと携帯電話の位置データを組み合わせてデータ解析を行い、その結果を持って後日当局がデモ参加者の自宅に赴き、該当者の逮捕・拘束を行ったことも報じられた。
(https://www.bbc.com/russian/features-56000110)(ロシア語)
こうした記事だけに接すると、ロシアの顔認識技術が国民監視のためだけに用いられているように思えるが、それはこの技術の応用分野の一部に過ぎない。
意外なことにロシアでは顔認証技術の商業分野への導入が急速に進んでいるのである。
特に顔認証の決済システムへの導入は注目される。